本来は生地を楽しむ料理

日本ではおなじみの宅配ピッツァ。郵便ポストや新聞の折り込みに入っているチラシを見ると、トッピングの実に豊富なこと。明太子や地鶏の照り焼きをのせた和風のものまであります。

いくつか諸説はございますが、そもそもピッツァはイタリアのトスカーナ地方に住んでいたエトルリア人の食べ物・フォカッチャという丸いパンが原型。チーズといっしょに、あるいは肉や魚をのせて食べていたそうです。

ピッツァのレシピができたのは18世紀。ナポリでトマトが本格的に料理に使われ始めたのがきっかけでした。でもまだまだナポリに限られた食べ物だったのです。イタリア中で食べられるようになったのは19世紀のこと。イタリア王国のマルゲリータ王妃が、バジル、モッツァレラチーズ、トマトでイタリア国旗を表したピッツァを献上され、それを気に入ったからだといわれています(そう、あのピッツァ・マルゲリータのルーツです)。

ちょっと前置きが長くなりましたが、だから、本来のトッピングはその程度。宅配ピッツァのようにいろいろのせるのもいいのですが、むしろ、生地を楽しむ料理のようです。

びっくり!冷めてもおいしい

まずは小麦粉。これは厳選したものを使い、あれこれブレンドしない。厳選しているから、一種類でいいのです。この小麦粉に水と塩とオリーブオイルを合わせてこねます。それも配分は、季節によって湿気や温度が違うから、微妙に変えているとか。ベテランになると長崎の気候をからだで覚えているので、配分の決定は早いといいます。

こねた生地は丸一日、低温で寝かせます。これをピノキオではすべて手伸ばししています。ローラーを使う店もありますが、あれだと生地の感触が手に伝わらず、状態がわからないから、伸ばす際の力の入れようがコントロールできないため、おいしく焼き上がらないのです。

しかも伸ばすスピードがピノキオの職人さんは早い。素早く伸ばさないと余分な空気が入ってしまい、これまたおいしさを損ねるからです。 さらに店には秘密兵器が。有田焼の登り窯にヒントを得た焼き窯を持っていることです。焼き物は高温で焼き上げますが、それと同じような温度で焼き上げられないか。有田に近いことから店ではそう考えたのですが、見事予想は当たり、外はパリッ、中はモチモチッとしたクリスピータイプのピッツァに仕上がりました。

そういったいろいろな理由で、ここのピッツァは生地がおいしい。特に外側のいわゆる“耳”の部分は絶品です。

自家製の具材とソースのこだわり

さて、生地もそうですが、ソースや具材にもこだわりが。ソースは素材の味を引き立たせるために、あえてシンプルなソースに仕上げています。

具材はほとんどが自家製手づくり。特に自家製パンチェッタ(ベーコン)は評判の味になっています。

というわけで、ピノキオのピッツァにはこういう秘密があったんです。

で、今回、驚いたのは冷めてもおいしいということ。つい会話に夢中になってしまって、気がついたらちょっと冷めてしまっていたのですが、基本がしっかりしているから、それでもとてもおいしい。開店して23年が経っても行列ができる理由が、あらためてわかった気がしました。

世界でただひとつのピザ窯

有田焼の窯にヒントを得たピザ窯。ふつうの店では3枚くらいしか入らない窯が多いそうですが、ここのは特別サイズ。その分、温度管理が難しいそうですが、専用の制御機器を導入しているそうで、問題はなし。

ポテトとベーコンのピザ

ピノキオで一番人気のピザ。カリカリッと揚がったポテトと生地の相性は抜群。生地はどんなに忙しくても一枚一枚、手伸ばし。1日400~500枚近く伸ばすこともあるそう。1,300円