2008年4月11日

100万本の花畑に浮かぶオブジェたち

故岡本太郎さんの作品≪女≫

≪スイング≫

≪Legend of the White Canoe≫

朝の強風がうそのように、爽やかな春風に変わった午後。
地植えのチューリップが満開のアートガーデンで、世界の巨匠 故岡本太郎さんや、立体造形の第一線で活躍する彫刻家の作品を展示した「花と彫刻の美術館~空想の花畑~」のオープニングトークショーが開かれました。


トークショーには岡本太郎美術館館長の村田慶之輔さんと、作家井田勝己さん、渡辺豊重さん3名をゲストに迎え、展示作品の解説をしていただきました。

 

まず、アートガーデン入口から少し奥に展示されているのが故岡本太郎さんの作品≪女≫。今回初めて屋外作品として展示協力いただいています。これは大阪万博≪太陽の塔≫のすぐ後、太郎さんが60代の時に制作した作品で、「太郎さんの中にあった女性像をイメージした作品ではないだろうか・・・」と、村田館長さんは解説されてました。
その質感なのか、フォルムなのか、作品が不思議と花畑の中に溶け込んでいて素敵な空間を作り出しています。太陽の光を浴びるとキラキラと光っていろんな表情を見せてくれます。

 

さて、アートガーデンを奥に進み、ワイルドフラワーが咲くその先に渡辺豊重さんの3作品があります。≪スイング≫というタイトルは大好きなジャズから付けたらしくとてもカラフル。今にも軽快なジャズ音楽が聞こえてきそうなステンレス製の作品には“生命の喜び”が表現されているとのことです。「見る人に喜んでもらうことが必要ですね。喜んでもらえたということは表現者の意識が見る人に伝わっているということ。作品を通して両者が生命の喜びを分け合っているということです。」と語る渡辺さん。とは言いつつも、見る側の想像力も必要とおっしゃってました。抽象的な作品って見る側にとってはその意図が伝わりにくいですからね。でも想像力を思い切り使って作品を自分なりに理解しようという姿勢は、確かに見る側にも必要だなぁ・・・って思いました。それが作者へ対する敬意・・・とでも言うのでしょうか。

 

そしてアートガーデンの一番奥。ドムトールン側に設置されている白いカヌー。これが井田勝己さんの作品≪Legend of the White Canoe≫です。今回ハウステンボスに展示することが決まって、このために制作したという作品。カヌーですからもちろんオールで漕ぎますよね。井田さんの作品にはオールに羽が付いてるんです。トンボや陽炎の羽が好きらしく、確かにトンボの羽に見えます。まるで100万本の花畑を自由に飛びまわっているかのようなこの作品。個人的にはなぜかアニメ「未来少年コナン」を思い浮かべてしまったちょっと不思議な作品です。

 

とにもかくにも。こんな風にアートガーデンには作家6名による12作品が5月18日(日)まで展示されています。GWに最大の見頃を迎える100万本の花畑で、12の作品たちにいろんな想像をかきたててみてはいかがでしょうか? 親子で散策すると、お子さんの想像力に“将来の巨匠”を感じるお父さんお母さんが意外といらっしゃるかも知れませんね♪

 

 

(文/竹内利佳、写真/中野裕子)