2007年6月4日

2週間の美しさ。1年間の手間。日本唯一の運河沿いの壁面に咲き誇るバラたち。

日本でここだけの街並のバラ
運河から眺めるバラ
バラの花束(自然に咲いています)

この季節、カナルクルーザーに乗り、移りゆく街並みを眺めていると、ミュージアムスタッドの運河沿いの壁面に這うように咲く白いバラが見えてきます。そのバラは白から薄いピンク、ピンクと少しずつグラデーションをつくり、眼鏡橋(ジョーカー橋)をくぐり抜けると、華やかなピンク、赤、オレンジの鮮やかな色が視界に広がります。そしてその向こうにはシンボルタワー「ドムトールン」が。

 

絶好のシャッターポイントとして、たくさんのお客様に喜んでいただいているこの運河沿いのバラは、世界のどこにもないバラと街並みが調和した風景を作り出そうと、2年前からすすめられていたプロジェクト。運河船から見て一番綺麗に見られるように、様々な工夫が凝らされていますが、中でも最も注力しているのが、約1kmにも及ぶ日本初の壁面展開です。
グランドカバー系と呼ばれるバラを、ワイヤーを使い人工的に美しく壁面に誘導し、尚且つ変化を持たせるために、グラデーションを意識して品種の配置を行っています。

 

通常バラは、初夏と秋に花を咲かせますが、この壁面のバラが咲くのは年に一度、初夏だけです。そのため、最盛期には通常のバラの2倍のボリュームで美しく咲き誇ります。
ただし、そのためには大変な手間と労力がかかります。
初夏のシーズンが終わるとすぐに、枯れ始めた花を一つ一つ手作業で摘み、また、病気の葉がないかを丹念にチェックします。そして、真冬の1月に、細かい剪定作業などを行い、次のシーズンい備えます。

 

壁面のバラが最も美しく咲く期間は、わずか2週間。この2週間のために、1年をかけて準備を行うことで、世界で1つだけの美しい光景を見ることができるんですね。

 

 

 

(写真/白仁田 順子・文/池田 伸一)